はじめに
いきなりで大変申し訳ないのだが、これを読んでくれている方にふたつ伝えたいことがある。
まずひとつ目。
私は《連珠の精霊アガピトス》というカードが苦手である
そしてふたつ目。
私は《サザンルネッサンス》というカードが紙でリアル所持しているくらい好きである
…
苦手と好きがコラボしてしまった
今の状況は例えるなら、好きな女が俺が苦手な男と付き合い始めて、死ぬほど嫌だけどあまりにもお似合いすぎて「ヘヘッ…おめでとう…イイネ…」とカラカラの喉で繰り返すことしか出来ない状態に似ている。
そう、お似合いなのだ。ベストマッチすぎて否定することが許されないのである。梶裕貴と竹達彩奈、星野源と新垣結衣、サザンルネッサンスとアガピトスで並べられる。
マラソン行事の後「お疲れ様。飲み物買ってきたよ」と、汗をかいているはずなのにやけにいい香りを漂わせてサザンルネッサンスの横に腰掛ける爽やか高身長イケメンは俺じゃない。新アガピトスだ。
ようやく叶ったサシ呑みで恐る恐る放った「好きな男とかいるんですか…」という問いに対し返ってきた「いるよ。仕事は大変だけど、彼との時間が励みになっててなんとかやれているの」という答え。その"彼"という言葉は間違っても俺を指すものじゃない。新アガピトスだ。
「この前、ようやく新婚旅行に行けたの!写真たくさん撮ってきたから前原君も見て見て!」そう無邪気に笑う彼女が見せてくるスマホの中の写真。そこで微笑む役割は俺にはちと荷が重い。そのポジションに相応しいのは新アガピトスだ。
俺が男に生まれたばっかりにアガピトスが男になっているが、実際のアガピトスは女性なので注意してほしい
非常に悔しいが感動してしまったので、これからサザンルネッサンスにおける新アガピトスがいかに優れたカードかを綴っていこうと思う。
聖霊龍王アガピトスというカードがルネッサンスの補完として完璧すぎる
《聖霊龍王アガピトス》というオリカはサザンルネッサンスの持つ弱点を無理なく完璧に大胆に解決しているカードである。
順に書いていこう。
「サザン引けなかったらどうしよう問題」の解決
まずはサザンを引くことができないと息切れし気まずい雰囲気が流れる弱点についてだ。サザンを使ったことがあるプレイヤーであれば折角メタクリを展開できたのにサザン本体を出せずそのままズルズルと負けた経験が一度はあるだろう。(あってくれ)メタクリとはあくまでも時間稼ぎのためのカードだ、出した後悠長にターンを返していたらいずれは乗り越えられてしまうのだ。
この弱点をなんとかするために紙の先人たちは「サザン以外のリソース補給カード」をデッキに採用してきた。初期の《ガガピカリャン》や《ジャスティス・プラン》にはじまり、ドレミ団と組み合わせてみたり、《ジャスティスシェイパー》を仕込んでみたり、メタリカ基盤と組み合わせたり、《サザン.star》等継戦能力の高いクリーチャーとの折衷構築にしてみたり...様々な工夫がみられる。(是非下のリンクで検索をかけてみてほしい)
デュエプレにおいても別途リソース補給要員が必要なことはほぼ間違いない、何を使おうか?そう考えていたところに舞い降りたのが新アガピトスである。
...思わず溜息をついてしまうほどの完成度だ。
前述した「継戦能力の高いクリーチャーとの折衷構築にする」というアプローチをとんでもなく高度な次元で行ってきやがった。リソース補給=手札補充のノリで考察を進めていた俺を平手打ちにするかのような破壊的能力。「進化ではない光のコスト6以下のクリーチャーを1体出してもよい」じゃねえよ良くねえ。た、確かにドローより踏み倒しの方が基本的に何倍も強いが、許されるモンなのか...?
その性能は未知数だが、私はとんでもなく強いカードだと感じている。下手したらサザンよりこちらを優先したい状況のほうが多いんじゃないかと思うくらいには。
公式動画の40:00辺りを観るとわかるが、この局面サザンが引けなかった場合新アガピトスで走れるのである。信じ難いが、デュエプレのサザンルネッサンスはパンダやジャッキーの血を引いているデッキらしい。(紙では横展開からのワンショットに特化したデッキなので慣れるまで時間がかかるかもしれない…)
これで新弾の目玉の一角《エバーローズ》を踏み倒しでもしたら人が死ぬだろうし(ドラグナー販促要員としてみても新アガピトスは一級品である)、雑に小型クリーチャーを出してもサザンへの布石となる。
し、正気か...?
クリーチャーコントロールに何食わぬ顔でバルガライザーが紛れ込む。これが現代のデュエプレなのだ。敢えて汚い言葉を使わせてもらう、「馬鹿」だ。だが、全力で馬鹿になるのも悪くないのではないか?そう本能が告げている。
「盤面7体制限キツ過ぎるのでは?」問題の解決
前述の通り新アガピトスがパンダジャッキー寄りの性能を持っているため「早期に走るプラン」が現実的なものとなっているが、本来サザンルネッサンスというデッキはひたすらクリーチャーを横に並べ、一斉攻撃で勝ちにいくワンショット寄りのデッキである。
だからこそ、
TCGでサザンを使ってた身として、盤面制限のあるデュエプレでサザン系のウィニー戦術が強いのか正直めちゃくちゃ懐疑的だからこの予想を覆してくれ
— くーぼー (@soranaki00) 2023年9月17日
オリオティスとかティグヌスをシンパシー元にした所で殴れないクリーチャーで盤面埋めるだけだぞ
このような疑問がユーザーから出るのは至極当然で、私も「そうなんだよな...」と相槌をうつ等していた。まあ、私がティーザームービーでサザンの姿を確認し最初に思ったことは「レアリティそのままで出してくれ!SR生成は重い」だったのだが...恥ずかしすぎる...
個人的には《審判の鎮り 新蓮》のような「手軽にブロッカーを打点に変換できるカードが収録されるのでは?」と思っていて、これは正解っちゃ正解だったのだが、こんなに盛ったカードが来るとはとても予想できなかった。
そう、新アガピトスはサザン本来の動きにも綺麗にハマるデザインなのである。
俺は使ったことがあるから分かるが、準バニラの《新蓮》ですらそこそこ強いカードだぞ...?コスト踏み倒し効果を持った《新蓮》、本当に大丈夫か...?盛るのはエレナ様の胸だけにしておいたほうがよかったんじゃないのか...?
ていうか俺の中では新アガピトスの出力が高すぎて《不滅槍パーフェクト》がコロッと裏返るんじゃないか疑惑まで浮上している。《エバーラスト》が当たり前のように場に佇むのがデフォルトだとしたら、これはもう盤面制限なんてないも同然。パーフェクトを装備した《エバーローズ》は吸い込まれないから盾を割るリスクも比較的少ない。。。っていうかよく見るとしれっとパーフェクトの龍解条件も緩くなっているじゃねえか!!ほ、本当に大丈夫なのか!??
しかも、しかもだ。新アガピトスはマナ武装で相手クリーチャーをタップすることができる。これがとんでもなく危険だと私は考えていて、なんなら次の項で話したいことに繋がるのだが、なんかもうマジでほ、ほほほ、本当に大丈夫なのか!??ウホホーッ!!!
相手に触りにくい問題の解決
軽量メタクリーチャー、質の高いドロソ、フィニッシャーと魅力的な要素を多数備えているサザンルネッサンスだが、弱点も勿論ある。有名どころだと「全体火力に弱い」というものがあるが、地味にキツイのが「相手クリーチャーに触る手段に乏しい」というものだ。ブロッカーがぽつんと立っているだけで結構鬱陶しいのである。
タップやフリーズ効果を持つウィニーを採用すればある程度は改善されるが、それらに枠を割くのはなかなか難しい。その手のカードはタップキルが強い環境でもない限り活躍する場面が限られており、デッキパワーを下げる危険性があるからだ。意識することはほぼないが、タップという行為は「相手クリーチャーに干渉する手段」の中でダントツで弱い。
本家DMには防御札として強く手打ちも容易なタッパーである《ライデン》や《メメント》があったが、デュエプレにはそれらは存在しない。これは本家以上に相手クリーチャーを抜けるのに難儀するかもしれないな。
そう思っていた矢先の新アガピトスである。俺の不安は杞憂100%だったのだ。展開しつつおまけのように相手クリーチャーの動きを止める。控えめにいってフットワークが軽すぎる。ここまでお手軽に相手クリーチャーに触れるなら難儀もクソもねえ。俺達はアガピトスというデュエプレが産んだ光の前に跪くことしかできねえ。
そしてこの能力の特筆すべき点だが、当たり前のように重複する。ま、待つんだwait!それは洒落になってないだろ。新アガピトスは盤面1体制限がないのだから複数体並ぶことが予想される。仮に新アガピトス2体で殴ったらタップ効果は4回発動する。
それはもう《ホーリー・スパーク》と大差ないだろうが…
「暖かく包むだけが、光ではありませんよ」とはよく言ったものだ。こんな安い速い強いが三拍子揃ったジャンクフードみたいな光に暖かさなんて微塵もありゃしねえ。この輝きは冷たい氷の輝き。だが、この冷たい輝きに触れてみたい俺がいる…
「アガピトス」という5文字
ここまで書いてきたことをまとめると、新アガピトスは
- サザンと双璧を為す、あるいはサザン以上に強力なデッキのエンジン
- 盤面制限という枷を打ち破る、大胆なアプローチ
- 相手盤面をこじ開ける斬り込み隊長
である。
化け物。どこからみても文句の付けようがないバケモンである。多分裏面から見ても禍々しいオーラを放っていると思う。戦略、戦術、そして戦闘。三拍子揃った最高の人材。デュエプレ界の園崎魅音。
…俺は本来、ここまで露骨なデザイナーズカードを見るとあまりいい気分はしない。デッキを「作らされている」感じがして、どうにも気持ちが乗らない。
だが、このカードは「アガピトス」だった。このカードに「アガピトス」の名を付けた。このカードをサザンと同じ弾に収録した。
全てに、納得できてしまうのだ。
ふざけたコスト踏み倒しもタップ効果も突然湧いてきた能力じゃない。アガピトスというひとつの伝説が元から持っていた能力である。コスト軽減も《ギフト》や《天門》で降臨していた過去を振り返ると僅かの違和感も無い。アガピトスの特性がたまたまサザンルネッサンスの不足部分を補えるものだったからリメイクした。それだけのこと。あまりにスマートで、美しい。ここまで美しいと、言われるがままデッキを組んでみようかと思えてしまう。
もう一度言うが、私はアガピトスというカードに苦手意識を持っている。アガピトスは私に数多のトラウマを植え付けた恐怖の対象だ。
だが……新アガピトスの登場は、歓迎する。
俺はこのカードを早く使いたくて仕方ない。
おわりに
もう語ることは全て語ったので、最後にこの言葉を残して〆ようと思う。
こんちきしょうめ
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